五台山は、大同と太原の中間くらいにある。それぞれバスで4時間余りかかる。
中国における高野山のようなところで、山間の集落にいくつもの寺院が集まっている。
五台山の中心(台懐鎮)は周囲を3,000メートル級の五つの山に囲まれている。
集落に入るには、その山々のどれかの峠を通らないといけない。

ここは、北台岳の入山口。ここで、入山料168元を取られる。
入ったら入ったで、一つ一つの寺でまた入場料を取られる。
大同から五台山までの路線バスで来たのだが、ここでバスを一回降りて、切符を買って入場ゲートを通ってからまたバスに乗らないといけない。
ここで、間違ってチケットを多く買ってしまった家族に遭遇した。
何でも、運転手はチケットが必要ないらしい。
それで払い戻そうとしたら、断られたということで、切符売場の前で道行く人に売ろうとしていた。
これだけ高いとやっぱり必死に売ろうとあせっていたが、誰も買おうとしないので、自分が買うことにした。
160元で売ってくれ、少しだけ安くなったのだが、偽物の心配が強く、ゲートを通る時は結構ドキドキした。
しかし、無事通れた。
ちょっといいことをしたという充実感も生まれた。
その他、五台山の地元の人ならタダで通れるということで、路線バスの車掌の家族ということにしてもらってタダで通っていた女性もいた。
その車掌がまた悪そうな顔してるおっさんで、デレデレしてうれしそうにその女性に話しかけていたのだが、その女性もいかにも親しげに話していて、たかが168元でそんな風に媚態を作るのかと、気持ち悪かった。
おまけに隣に旦那さんが座っているのだ。
車掌はともかくその夫婦はともども理解できない。
五台山の中心の台懐鎮に行く道は、峠を経由する3つの道から侵入できる。
当然道は細く、台懐鎮に入っても2車線しかなく、おまけに行った時期も国慶節だったので、台懐鎮の中は車だらけで渋滞がひどかった。
路線バスも路線バスで、バス停まで行ってくれなかった。
途中の民宿が密集している地域で細道に入ってしまい、車掌の知り合いの民宿に乗客全員が連れて行かれた。
すごく清潔だと言って必死に勧めてきたが、どうみても街中の招待所よりボロい。20元くらいで泊まれそうなレベルだ。
それで、別の宿を探した。

泊まったのが、この「金峰賓館」。
橋を渡ると駐車場やロープウェーがある界隈にある。かなり大きな宿で橋の向こうからだと一番に目に入る。

部屋もまあまあ奇麗だ。
250元だったのが交渉して200元になったが、繁忙期の観光地ということを考えると、250元出してもよかった。
そんなこんなで3時くらいになり、昼食もまだ食べてなかったので、近くの食堂で食事することにした。
橋を渡ってすぐ、川沿いの道の並びにある店に適当に入った。
ここでもやはり刀削面が名物みたいなので、安く済むだろうし刀削面で済ますことにした。
10元でできるが、時間がかかるので、キノコと肉の炒め物にしたらどうかという主人の勧めで、それに従うことにした。
それで、たべたのがこれ。

キノコと豚肉を普通に炒めただけだが、普通においしかった。
勘定をするときになって、主人に言ったら、60元だと言われた。
これには本当にびっくりした。
なんでこんなにするんだと言ったら、キノコが五台山の名物で、天然のものだからこの値段なんだ、と言い、ご丁寧にメニューも見せてくれた。これがその料理の名だと言って、56元の料理を指した。
こちらはその料理が本当にその名前かも知らない。
本当に分かりやすい典型的な旅行者を食い物にする手口だ。
こんな道沿いの店がこんな古典的な手口を使って騙すとは思ってもみなかった。
というか、そのまま警察に行ったら捕まるんじゃないの、ということを堂々とやるのが理解できない。
旅行者だと思って吹っかけてるんだろうと思い、20元くらい払えば満足するかなと思い、主人と交渉したが、意外なことに頑としてびた一文負けない。
それどころか、勇気があるなら外に出ていってみろ、とすごい剣幕で怒鳴る。
店の中はその店の一家が食事しているのだが、あまりかかわりたくない様子だ。
こちらは料理の写真も撮ってるし、どう考えても60元もするわけはなく、さらに外国人という強みもあるので、警察に行けば勝てる自信はあるが、たかが数十元のために貴重な時間を潰すのは痛い。
それで、30元あげることにし、家族と一緒に食卓についてた主人に向かって、30元やるから受け取れ、受け取らなかったらそのまま出ていく、と宣言し、受け取る様子がないのでそのまま出て行こうとした。
そしたら主人がこちらに走ってきて、胸ぐらを掴んできた。
その後どうするのかと見てたら、ちょっと押してきて、その後食卓へ戻って行った。
その後すぐ、その奥さんと思われるおばさんが仲裁に入ってくれた。
この人も30元まで譲歩してくれてるんだからいいでしょ!といって、手を打ってくれた。
20元札2枚しかなかったが、ちゃんと10元おつりをくれた。

この店で起こった出来事だが、他の店でもこういったことはあるかもしれない。
五台山で食事する時には、注文する前に値段はよく確認した方がよいだろう。
人をだます悪い人が多いから気をつけてね、という大同のマッサージ師の女の子の忠告は、本当のことだった。
あの女の子が本当に知っていて言ったとは未だに信じられないが、逆にあんな太原ですら行ったことない女の子でも五台山がこういうところだと知っていたとしたら、問題は重いものがある。
ここではタクシーも適当で、メーターを倒さない。初乗り5元なのに、銀行のATMまで往復で3キロくらいの距離を15元取られた。
仏教の聖山だというのに、逆に五台山に入ったら胡散臭い出来事が多い。
町並みとしては、日本の山村を彷彿とさせ、すごく落ち着く感じなのだが。